元気なうちに始めたい、今から始める【生前整理】【老前整理】

セカンドライフ

話では聞いたことがあるが、実際に経験するのは、親が他界したときなどに知る「遺産整理」。

実の親とはいえ、他者が生活の中で蓄えた膨大な品々や資産を把握し、整理するのは大変なことです。

昔の思い出などもあり、懐かしい品々も出てきますが、何でもっと早くから整理していなかったのかと恨み言も出てきます。

また、近年では、個人のスマホやパソコンの中で管理する、SNSのアカウントや金融機関口座を始め、各種アカウントやコンテンツの契約などのデジタル遺産もあります。アカウントに気づかないまま放置すると、思わぬ損失を被ることもあるので気をつけないといけません。

親の相続や、遺産整理を経験して初めてわかることですが、行く行くは、自分の遺産をどのように子供たち、家族に残していくか考えるときがくるでしょう。

残された家族に迷惑や面倒をかけないよう、自分の体力、判断力があるうちに、身の回りの品々の整理を行っていくのが生前整理です。

定年退職を期に、より若いうちに始める生前整理を、老前整理とも呼ばれるようになってきました。

身の回りの整理を後ろ向きに考えるのではなく、終活の一つとして、自分の生きてきたこれまでの人生の振り返りと、共に過ごしてきた家族との関係を深めていく良い機会となり、より充実したセカンドライフを迎えられるでしょう。

生前整理とは

生前整理とは、終活(しゅうかつ)の中で、体力があり、判断力があるうちに、身の回りの物品・財産の整理を行うものです。
終活とは「人生の終わりのための活動」の略で、人生の最期を迎えるための様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉です。

家族との同居や、一人暮らしに関わらず、遺品が多いと家族にとって物品・財産の整理、片付けや、処分が大きな負担となってきます。
自分自身で動き、判断できるうちに、自分にとって本当に大切なものや、後世に残したいものを明確にし、リストアップしておくことが必要です。
また、パソコン、スマートフォンの登録情報や、WEBコンテンツ・アプリの契約などのデジタル遺品についても前もって整理しておき、どのように対応しておくか決めておくことも必要です。

生前整理の対象

デジタル遺品

  • パソコン、スマートフォン、メールアドレス
  • 各種口座情報
  • 各種IDとパスワード
  • サブスク契約 など

思い出の品

  • 写真
  • 趣味、コレクション
  • 書籍
  • ギフト・プレゼント
  • 賞状・トロフィー・メダル
  • 衣服
  • 日用品 など

財産

  • 不動産
  • 金融資産
  • 保険契約 など

 

生前整理の進め方

リスト化

他者にわかりやすい内容。資産価値・転売価値。どうしたいか、手放すのか、残すのか大まかな方向性を決めましょう。

自分にとってかけがえのない特別なもの、残したいものをリスト化し明確にすることで、自分自身の人生の振り返りもできます。

リスト化した財産目録は、随時更新されていくこともあるので、定期的に見直したり、紙媒体で残す際には更新日なども記入しておくと良いでしょう。

検討・相談

リスト化ができたら、それを手放したり、残すためにどのようにするか検討し、相談しましょう。

手放すと言っても、物品によっては、廃棄処分だけでなく、売却、譲渡や寄贈を行うこともできるでしょう。
遺族に残す場合も含め、リスト化した財産目録を税理士や司法書士等の専門家と相談するとよいでしょう。公的機関の行う無料法務相談や無料税務相談を活用することもできます。
相談をすることで、名義変更や税金対策、遺言書の必要性などそれぞれ課題や方向性も明らかになってきます。

処分

趣味やコレクションで収集した物品は、自分にとってはとても価値あるものですが、家族にそれが当てはまるとは言えません。また、社会的に価値があったり、同種の趣味・コレクターに価値があったりする物品も、家族にはそえがわからない場合もあります。
自分が亡くなった後、むやみに廃棄されたり、買取り業者に転売されるべきではないものについては、趣味仲間やコレクターに譲ったり、博物館へ寄贈したりすることも考えましょう。

家族に形見として残す品は、どのような歴史がある品で、どのような想いが詰まっているのか、生前に伝えておきましょう。

絶対に見られたくないものは、できる限り早く処分しましょう。
家族や遺族には絶対に見られたくないものは、一つや二つはあると思います。いつまでも残しておきたいという気持ちもありますが、終活・生前整理の一環で、自分の判断力があり、自分で処分できるうちに処分しておいた方がよいでしょう。
秘密にしていた趣味・交友関係や、知られたくないLINEやメールのやり取り、他人には見せられない写真や動画、日記などで、家族を悲しませてしまうような内容のものは必ず処分しておきましょう。

絶対に残したいものと、絶対に残したくないものの整理ができたら、それ以外は無理をせず、体力、管理能力のあるうちに徐々に整理していくのがよいでしょう。

自分の意志や価値観に反し、残された品々を遺族がまとめて処分することになることもあります。
遺族が整理や処分に困らない程度に、自ら処分するのが良いです。

まとめて処分をする際、中古品買取業者や、ごみ回収業者などを利用する場合もあると思いますが、悪徳業者には注意が必要です。
インターネットの検索で上位に上がってくるような業者でも、SNSや報道等でトラブルの情報を目にすることがあります。
買い取り業者のトラブルでは、買い取り価格の目安通りに買い取りされず僅かな買い取り金額になったり、二束三文で買い取られることになったりすることもあるようです。
ごみ回収業者のトラブルでは、ホームページやチラシで表示される価格が見積の一部で、諸費用等で法外な費用を請求をされる場合もあるようです。中には、「無料」で引き取りるという表示をしながら、諸々理由を付けて有料で費用が発生する場合もあるようです。

悪徳業者に引っ掛からないためには、
投函チラシの場合、以下のような業者は避けた方がよいでしょう。
住所が明記されていない
会社のホームページがない
連絡先が固定電話ではなく、携帯電話の連絡先しかない

インターネット検索の場合、以下のような点を留意した方がよいでしょう。
検索結果で安易に選ばない
まとめて見積りサイトも安易に利用しない
ネットの検索結果=信頼度ではない

チラシ、インターネット検索共に、業者選定の場合には
口コミ・評判を確認する
会社名、携帯電話以外の連絡先、所在地が明記されている
ことを確認しましょう。

買い取り業者の場合は、多少安く見積もられたとしても、店舗展開している業者や、上場企業など安心して利用できるところがよいでしょう。

回収業者の場合は、多少の金額の多寡があっても、行政や公的機関から仕事を請け負っているような業者や、上場企業の廃棄物回収サービスなどが、信頼度が高いものを利用するのがよいでしょう。

これらの処分の対応をするのにも、生前整理は、体力、判断力のあるうちにやっておくのが良いと思います。

生前贈与

資産や遺族の状況によっては、多額の相続税が発生する場合があります。

税理士と相談し、贈与税の基礎控除、特別控除などを活用した生前贈与で、無駄な税金が発生しないようにしましょう。

遺言書

生前整理でリスト化した財産目録・処分方法だけでは、公的に有効な遺言書とはなりません。

自分の財産をどのように残すか、無効にならない遺言書の書き方について、政府広報に詳しく記載されていますのでこちらで紹介します。

「知っておきたい遺言書のこと。無効にならないための書き方、残し方」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202009/1.html
※本記事執筆時で2024年6月26日に最新版が更新されています。

人的関係の整理

ここまでは主に、身の回りの物品・財産の生前整理について紹介しましたが、生前整理の一つとして人的関係の整理も必要です。
自分自身が亡くなった後、誰に伝えるか、電話やSNSなどでどのようにどのタイミングで伝えるか、友人知人や以前所属していた会社、団体等を、区分してリスト化して家族と共有しておくとよいでしょう。
最近では、近親者のみで執り行う家族葬が一般的となってきています。
葬儀への参列はなくとも、生前に深く関わっていた人、お世話になった方など、自分自身が亡くなったことを伝えたい人や連絡方法は明確にしておきましょう。

まとめ

生前整理の内容や、生前整理の対象、生前整理の進め方や注意点など紹介しました。

自分自身のためにも、家族のためにも、今からできる生前整理を検討してはどうでしょうか。

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